一分子生命ビッグバンはセントラルドグマに矛盾するか

一分子生命ビッグバンはセントラルドグマに矛盾するか

索引

  1. 一分子生命ビッグバン仮説はセントラルドグマに矛盾する
  2. 一分子生命ビッグバン仮説もセントラルドグマも両方正しい
  3. なぜ地球にはRNAとDNAの二種類があるのか
  4. 一分子生命ビッグバンのインフレーション期の後は?
  5. まとめ

一分子生命ビッグバン仮説はセントラルドグマに矛盾する

「一分子生命ビッグバン(Bigbang of Life from One Molecule )」の学説は、光学活性を持つ自己複製可能な、たった一つの有機分子から地球上のあらゆる生命体が進化したことを仮定します。

なるほどこの仮定を受け入れると、生命発生の最初の段階でパラメータが厳密に規定されたことになるので、その後地球上で進化を遂げたあらゆる生命体は、このたった一つの有機分子と同じ性質を引き継ぐことになります。

たった一つからスタートしたから、L型とD型の二種類あるはずの光学活性体のうち、現存する全ての生物に使われている現在のアミノ酸のL型につながる絶対構造が選択された。

たった一つからスタートしたから、アミノ酸の種類は20種類程度しかない。一人が着る服は20種類もあれば十分だったから。

たった一つからスタートしたから、自己複製システムはDNA(RNA)システムの一種類しかない。たった一つの有機分子に合わせてこのシステムは設計されたため、二種以上のシステムは必要なかったから。

たった一つからスタートしたから、自己複製に決定的に関与するDNAの二重らせんは右巻きが選ばれた。二重らせんが右巻きである理由は、たった一つの有機分子が持つたった一つの絶対構造に適合させるためであったから。

このようにこれまで解くことのできなかった分子生物学上の様々な難問を次々と撃破していく一分子生命ビッグバン仮説ですが、一分子生命ビッグバン仮説には見過ごすことのできない欠陥があります。

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