共通祖先とは何か、が簡単に分かる

共通祖先とは何か、が簡単に分かる

索引

  1. 共通祖先とは
  2. 分子生物学から見た共通祖先
  3. 有機化学から見た共通祖先
  4. 論理学から見た共通祖先
  5. 食品学から見た共通祖先
  6. まとめ

共通祖先とは

地球の生命体には共通祖先がいる、というのが現在の通説です。
共通祖先とは、地球の全ての生命体の起源となる、たった一つの存在であり、一つの細胞から地球生命の誕生は始まったと現在では考えられています。

共通祖先は漠然としたグループとしての概念ではなく、地球に最初に実在した一個の存在を意味します。


『図1-17に、バクテリア、アーキア、真核生物が「共通祖先細胞」からスタートする記載』
– Molecular Biology of THE CELL Sixth Edition P15

『図1-9に、細菌、アーキア、真核生物について「枝は共通祖先からの分岐を示す」』
– ヴォート基礎生化学第5版 P6

『現存する細胞は同じ祖先細胞から進化したと思われる』
細胞は共通の祖先から遺伝情報を受け継いでいるのだが、この祖先細胞は35億年から38億年前に出現し、地球上の全生物に共通する装置の原型をもっていたと考えざるを得ない。
– Essential細胞生物学原書第4版 P4

分子生物学から見た共通祖先

Woeseらの研究により、地球の生命体は、現在では三つの領域[バクテリア(細菌)、真核生物、アーキア(古細菌)]に分けるのが標準と考えられています(ウィーバー分子生物学第4版 P10)。

M.L. Wheelis, O.Kandler, C.R.Woese, Proc. Natl. Acad. Sci. 89, 2931(1992)

この研究では、タンパク質製造工場のリボソームに含まれるRNAの解析結果から結論を得ています。つまり、全ての生物は例外なくDNA、RNAを持ちます。またそれぞれに対応する四種の核酸塩基も完全一致します。

さらにはゲノム情報としての核酸塩基3個1組が指定するアミノ酸が、全ての生物で完全一致します。

分子生物学では、全ての生物で偶然ではない構造上の情報共有があることから、具体的な1個の細胞の共通祖先がある、と考えられています。

有機化学から見た共通祖先

タンパク質を酵素を使って分解するか、または化学的に加水分解した場合に得られるアミノ酸は、全て左手L型アミノ酸です。

『酸または酵素によりタンパク質を加水分解するとアミノ酸が得られるが、いずれのアミノ酸もグリシンを除き、光学活性を示すことが分かってきた。天然のアミノ酸の立体化学の研究は、αアミノ基を持つ炭素原子について全て同じ立体配置を示してきた。』
– Morrison Boyd ORGANIC CHEMISTRY Seventh Edition P1308

ここでグリシンだけが除かれているのは、グリシンだけが光学活性を示さないからです。光学活性は、左手と右手の様な鏡像体がそれぞれ示す性質で、偏光の曲げ方だけが異なります。それ以外の物理的性質は完全一致します。

グリシンだけが光学活性を示さない理由は、グリシンは軍手型で、右手左手の構造が、アミノ酸の中で唯一同じだから、です。

実は地球生物が左手L型アミノ酸だけを使うのは、理論的にはありえないのです。

なぜなら、左手L型アミノ酸だけが選択される過程を鏡に映すと右手D型アミノ酸が選択されてしまうので、左手右手の一方だけを選別できると仮定すると、他方が選択できる可能性を排除できないからです。

アミノ酸の様に左手右手がある鏡像体の場合、それぞれの生成割合は1:1です。この確率はサイコロと同じで変更できません。

確率を変更できないなら、事実状態を変更して突破します。

最初に1個だけの左手L型アミノ酸生成用テンプレートを1個だけ準備します。

たった1個だから、左手に決定されます。

この1個のテンプレートから産生されるアミノ酸は全て左手型になります。種類は生命が誕生した場所の環境依存で20種程度に決定されます。

この様に、鏡像体の一方のみが、左右どちらにするか不明な段階で統一されている場合、たった1個からの誕生を仮定しないと、左右一方に統一できないです。

この観点から、有機化学からも地球生命体にたった1個の共通祖先がいることが分かります。

論理学から見た共通祖先

論理学からも同じ結論に到達できます。

地球の生命体は(実際は地球に限定されず、あらゆるケースに適用されますが)、自分の構造が完成してから世の中に登場します。

もちろん、地球で最初に誕生した生命体も、自分の構造が完成された後に、地球に誕生します。構造が完成する前に世の中に送り出されても生命体としての活動ができないからです。

つまり、あらゆる生命体は、自分の構造がどのような成分でできているかについては、後から自分で調べるか、他の存在に教えてもらわない限り何も知りません。自分の誕生よりも構造の決定が先だから、です。

また生物の構造情報は、親から子へ、バケツリレーの様に自己複製だけで伝達されていきます。

どの生命体も自分の構造がわかりません。それにもかかわらず、全ての生物で偶然の一致ではない構造情報の共有があるとすると、それは、全ての親が同じである、という結論に至ります。

論理学からも、たった一つの共有祖先の存在に到達できます。

食品学から見た共通祖先

食品学からも同じ結論に至ります。

地球の生命体は全体で一つの食物連鎖の循環を形成します。あたりまえですが、地球の生命体は地球だけで食物を調達でき自己完結できます。

それだけではありません。地球の生命体の食物連鎖は任意の部分の切り取りでも成立します。

例えば、牛、羊、やぎ等の草食動物がいます。特段、魚や動物を食べているようには見えません。

また例えば、白くまやイヌイットはアザラシだけで雪上生活ができます。

オランウータンは樹上生活ができ、クジラは魚や海中微生物で生存できます。

人間は雑食で、魚だけでも、肉だけでも、農作物だけでも(健康維持は別にして)生存できます。たぶん、種類を選べば果物だけでも生命を維持できます。

鳥が虫を食べ、虫が農作物を食べ、農作物が不足すれば飢饉が生じます。

またコアラはユーカリを食べ、パンダはササを食べて生存します。

なぜこの様な食物連鎖が成り立つか、不思議でしょ?コアラやパンダが植物で生存できるのは、体内に植物を分解できる微生物がいるから、だけではありません。

コアラとユーカリとの体の成分が元素レベルで概ね一致していて、食べても欠損成分がでないから、です。

微量金属も含めて一致する理由はなぜなのか、という疑問がでてくると思います。

仮に地球生物がたった一つの共通祖先を持つと仮定すると、地球生物は最初の1個の自己複製によるコピーの集合体ですから、全体集合でも、全体集合の任意の一部を切り取った部分集合でも食物連鎖の輪を維持できます。

仮に、地球に複数の生命体が自然発生したなら

仮に地球で複数の生命の誕生があったなら、食料調達が極端に困難になります。魚、肉、農作物と思って口にしたとしても、実際はプラスチックを食べているのと同じ状態になります。他の系列の生物を分解する代謝系がないなら、いくら食べても自分の栄養分として取り込めず、やせ細って生命を維持できません。

分解吸収ができればよい話ではなく、それらを分解した結果、その分解成分の元素構成比でこちらの体を構築できるか、との条件を満たす必要があります。元素レベルで欠損成分がでると、いくら別系列の食物を食べても生命を維持できません。

また「数千年後、数万年後、私たちの子孫が、もしかするとプラスチックを食べて栄養分として吸収できるようになるかも知れません。その日がくるのを信じて、今日もみんなでプラスチックを食べましょう」、との話を信じて、プラスチックを食べますか、という話になります。

たぶん誰も食べようとしないでしょう。食べたとしても異物と認識して防御反応として吐き出してしまうか、腸閉塞になってしまいます。

まとめ

地球の生命体がたった一つの共通祖先を持つとの結果は直感に反すると思います。しかし、あらゆるデータが地球には一つの共通祖先しかいないことを物語っています。

この自然の声を、そのまま先入観なしに、あなたは受け入れることができますか?

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘
03-6667-0247

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