生命の起源はパスツールの予言通り

索引

  1. 否定された生命の自然発生説
  2. 生命は生命からのみによって生まれる説は何を意味するのか
  3. パスツールの学説は厳密に進化の源泉を言い当てています

否定された生命の自然発生説

19世紀には生命は自然に発生するかどうかがさかんに議論されていました。この論争に終止符を打ったのがパスツールです。

パスツールは、肉汁を加熱殺菌した状態を保つと腐敗が進行しないこと、外気から微生物が肉汁に混入する状況を作ると肉汁が腐敗する事実などから生命の自然発生説を否定しました。

パスツールが1861年に『自然発生説の検討』を発行してから生命の自然発生説は下火になりました。

現在において、生命が自然に発生するとの説を唱える学者は皆無です。

パスツールは生命は生命からのみによって生まれる説を唱えましたが、この説はスローガン的な意味ではなく、厳密に成り立ちます。

生命は生命からのみによって生まれる説は何を意味するのか

パスツールは生命は生命からのみによって生まれるとの学説を唱えました。中学生の頃に読んだパスツールの学説に私は感動しました。

生命の進化はパスツールの唱える学説に従うものでしょうか。

生命は生命からのみによって生まれると仮定すると、現存する生物の場合、自分の親へ、またその親へ、といった具合に、進化の源泉に向かって進化のルートを逆向きに辿ることができます。

このようにして、一斉に現在地球上に生きている生命体が進化のルートを逆向きに辿ったとします。

生命は生命からのみによって生まれると仮定したので、どんどん時間の軸を逆向きに辿ると、ついには最初の原始生命体に行き当たるはずです。

この原始生命体は複数存在するのでしょうか。

残念ながらこの原始生命体は複数存在しないことが分かっています。

仮に原始生命体が複数存在したと仮定すると、地球上に現存する生命体が二種類あるアミノ酸分子の光学活性体のうち、一方のL体(左型)アミノ酸分子のみを使用している事実を説明できないからです。確率論的に、D体(右型)アミノ酸分子を使用するものが現れるはずだからです。

一分子生命ビッグバン説では、地球上のあらゆる生命体は、光学活性をもつ、自己複製可能なたった一つの分子から進化したと考えます。

原始生命体をたんねんにたどると、ついには光学活性をもつ、自己複製可能なたった一つの分子に収斂します。

一分子生命ビッグバン説の仮説を受け容れると、パスツールが唱えた「生命は生命からのみによって生まれる」との学説は完全に正しいことが分かります。

全ての生命体を進化の仮定を逆にたどって、一つの分子に辿りつくことができるとすれば、まさに「生命は生命からのみによって生まれてきた」ことになるからです。

パスツールの洞察力には物凄いものがあります。

もし「生命は生命以外からも生まれてきた」のであれば、複数の生命体のシステムが現在観測できるはずです。

ところが現在、一つの進化の樹形図しか地球では観測することができません。どの生物もみんな、たった一つの自己を複製できる分子を起点として進化したため、このたった一つの分子の同じ性質を引き継いでいるからです。

生命発生の偶然は、この地球上の長い歴史の中で、文字通り、一つの分子でたった一回しか起こらなかった。

ただ、偶然一回起こった生命の誕生により、以降、地球の生命体は爆発的に進化しました。

パスツールの学説は厳密に進化の源泉を言い当てています

生命は自然発生することはなく、生命は生命からのみによって生まれるとするパスツールの学説は、一分子生命ビッグバン説と方向性が一致します。地球上の生命体は自己複製可能なたった一つの光学活性体分子から進化してきたのであって、それ以外の系統から生命が自然発生した痕跡が全く発見されていないからです。

「生命は生命からしか生まれない」との説は、何か深淵なものを感じさせます。

数学的な確率論からすれば、信じられないくらいに、生命発生の最初の場面は偶然であったことになります。

たった一つの分子のみだけがその後に続く進化の過程を達成することができたからです。それ以外にほぼ無限個数ある他の分子では、その後に続く進化の過程を達成することができなかったからです。

これまで生命発生のための実験が続けられていますが、決め手となる生命発生のプロセスは再現されていません。

生命発生のプロセスは試行錯誤で到達できる領域を完全に凌駕した世界の話になります。おそらく人間が実験により生命発生のプロセスを偶然発見することは今後もないでしょう。

それくらい生命発生のプロセスの最初の一撃は、レアケースであったと私は考えています。

ファーイースト国際特許事務所
所長弁理士 平野 泰弘

03-6667-0247

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